自分の軌跡を形に


by kazuyuna
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それは舞い散る桜のように

今までありがとう。君といて楽しかったよ。

ありきたりなセリフだけど、僕はそうつぶやいた。
それは小さな声だった。とても、とても小さい声。
だから君には聞こえていないかもしれないね。そう思った。

ううん、ちゃんと聞こえてる。私も……私も楽しかったよ。

君の瞳から流れる涙がそう言っていた。
目は口ほどに物を言う、とはよく言ったものだ。
君の口は全く動いていないのに、語りかけられているようだよ。

頼むから見つめないでくれないか。
君と別れることを決めていたはずなのに心が揺れてしまうから。
その瞳を見ていると決心が鈍ってしまうから。

僕がそう思った矢先に君の目が逸れた。
君は……君は、そこまで僕の心を理解してくれていたのか。
本当にこの決断は間違っていないと言えるのか?
僕のことをこんなに想ってくれている人と別れるのか?
そんな気持ちがよぎってしまう。

君の優しさが僕を引き止める。君への愛しさが僕を呼び戻す。
目を逸らしていた僕は君の目を見つめ、告げようとした。

やっぱり、もう一度……

だが、君の声が僕の声を遮った。

私は貴方が好きだった。一度決めたら貫く貴方が好きだった。
だから……別れましょう。最後まで私の好きな貴方でいて欲しいから。


……わかった。

僕が返した言葉はこれだけだった。この言葉以外言えなかった。
喋ってしまうと格好悪くなってしまいそうだったから。
君の好きな僕ではなくなってしまいそうだったから。

さようなら。私の愛した人。

彼女は微笑んだ。その笑顔はとても美しく、とても儚く感じられた。
そして、その笑顔が僕の見た最後の君だった。

さようなら。僕の愛した人。

僕は君に背を向けて歩きだした。決して後ろは振り返らずに。
こうして僕は君と別れた。それは夏の午後。とても暑い日だった。








ドラマ『大学近くの散髪屋で』
主演:管理人 ヒロイン:管理人の頭髪

緋村剣心(るろうに剣心)の名言】
 今までありがとう そしてさよなら 拙者は流浪人 また流れるでござる

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by kazuyuna | 2005-08-11 13:04 | 日記