自分の軌跡を形に


by kazuyuna
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昔書いたリネージュⅡ小説

10月になって気温も下がってきましたね。
それなのに未だに半そで一枚の管理人です、こんにちは。

さて、今日は昔書いたリネージュⅡの小説をアップします。
色々と未熟な点もありますが、お暇な方は読んでみてください。
(ほんの少しだけ直しました)

まず始めに恒例の語句説明から。

【グランドマスター:ラモス】
ナイトに転職するためのクエスト(試練)を申し渡す偉い人(多分ナイト)
この試練を乗り越えて初めてナイトになることが出来る。

【話せる島】
種族の1つであるヒューマンが主に住んでいる島。
英語で言うとTalking IlandなのでTIと略されることが多い。

【大蜘蛛】
話せる島に数多く生息している魔物。
道なりに進んでいけば教われる可能性は低い。

【ファイターギルド】
この世界の住人は、大きく分けてファイターとメイジに分かれる。
ファイターは戦士系、メイジは魔術師系だ。
ファイターギルドではファイターの技能を覚えることが出来る。

【グルーディン村】
本島(エルフ、ダークエルフが多く生存している島)の村の1つ。
話せる島から船を出すと、この村に着く。

【グルーディオ城】
グルーディン村から最も近い城。
城下町はとてもにぎやかであり、夜でも人で溢れている。


では、リンク先へどうぞ!
ちなみに途中から【追加編】となっているのは、本編(最初のfinまで)を
アップしたときに読者の方から続きが読みたいといわれたので
後日アップしたものです。

本編で終わろうと思ってましたが、書いてみると割としっくりと
きてるかもと思ってます、自分なりに。



【出会い】

「お前の勇気と弱きものを守ろうとする強き意志、確かに受け取った。
これで今日からお前も誇り高きナイトの一員だ」

グランドマスターであるラモスからの直々のお言葉。

これで今日から僕も誇り高きナイトになったのだ。

この青年の名はディオス。幼き頃よりナイトを目指していた。

それには一つの理由があった。

それはディオスが12歳の頃にさかのぼる。


――話せる島の村、ヒューマンが多く生存しているこの村でディオスは育った。

ある晴れた日のことだった。少し大きな声が聞こえてくる。

「ディオス、ちょっとお弁当を届けてくれない?」

場所はディオスの家。声の主はディオスの母であった。

今日は快晴で風も強くない。

絶好の釣り日和だな、とディオスの父は海岸へと出かけていったのだった。

「お弁当って父さんに届けるの?」

母の呼び声にすぐさま反応して二階から降りてきたディオスが質問した。

「うん、そうなの。父さんたら、お弁当忘れちゃってね。
まったく、昔から一つの事に夢中になると他のことが見えなくなるんだから」

言葉だけを聞くと怒っているように聞こえるのだが、顔は微笑んでいた。

もしこの場に大人たちがいたのなら

「そういうところに惚れたのだろう?」

などとからかうのかもしれないが
まだ12歳の少年であったディオスにはそんなことは思いつかなかった。

しかし、母さんがなんとなく嬉しそうだなということだけは感じていた。

だからいつのまにかディオスも笑顔になっていたのだろう。

「あら?おつかいが嬉しいの?いつもと違うわね」

少しからかい気味に母がディオスに言った。

「うん」

ディオスは満面の笑顔でそう答えた。

「じゃあ、海岸までこのお弁当を届けてもらえる?」

そう言って、母はお弁当をディオスに手渡した。

「十分に気をつけて行くのよ」

「うん、わかってるって」

今までも何度かおつかいを頼まれたことがあるが
町の外に一人で出るということは初めてだった。

それだけ聞くと危ないような気もするのだが、そうではない。

ディオスは父と何度か釣りに行ったことがあるから、道に迷う心配はない。

それにこの辺りにはそれほど強い魔物は出ないし
道に入ってくるほど凶暴なものもいないのだ。

それが母が安心しておつかいを任せることのできた理由であろう。

ディオスは普段通っている道を通り、父にお弁当を届ける――はずだった。


村の外は静かで、風によってゆれる木々の葉の音が聞こえていた。

突然、静けさを切り裂くような叫び声が聞こえてきた。

「お、大蜘蛛だ~」

ディオスがその大きな声に気付き、そちらを向く。

そこには形相を変えてこちらに走ってくる男。その後ろには大きな蜘蛛の姿。

蜘蛛の追いかける速さの方がわずかに早いようだ。

徐々に男と蜘蛛の距離が縮まる。

そして蜘蛛の足が男に触れそうになる、まさにその瞬間。

ディオスは蜘蛛に殴りかかっていた。

恐怖がなかったわけではない。

この見知らぬ男を見捨ててはおけなかった。

ディオスの強い正義感が恐怖を凌駕したといったところか。

蜘蛛の標的は小さなディオスに向いた。

もちろんディオスにこの蜘蛛に対抗する力などはない。

蜘蛛の右の前足がゆらりと空に浮かぶ。

先ほどまでのディオスとは違い、今は恐怖が全身を硬直させていた。

(に、逃げないとやられちゃう……)

心ではそう思っているのだが身体がいうことをきいてくれない。

そして、蜘蛛の前足がゆっくりと振り下ろされた。

ディオスは思わず瞳を閉じていた。

瞳を閉じたディオスに予想しなかった音が聞こえてきた。

――キン

金属に何かがぶつかる音。

その音にびっくりしてディオスは目を開けた。

ディオスの目の前に立っていたのは、見知らぬ剣士。

先ほどの音は蜘蛛の攻撃をその剣士が盾で防いだ音だったのだ。

そして次の瞬間、剣士は蜘蛛を一刀両断していた。

「す、すごいや……」

思わずディオスは言葉を発していた。

実際に見た時間は数秒ほどであっただろう。

その光景はディオスの目に強く焼き付いていた。

「大丈夫か?」

初めて発せられた剣士の声はディオスへと向けられたものであった。

「う、うん。ありがとう」

ディオスの声を確認するとその剣士は次の言葉を発した。

「お前の姿を見ていた。困っている人を助けるという心をいつまでも忘れるなよ」

そう言うとその剣士は船着場の方へ振り向き、歩きだした。

「ま、待って。貴方の名前を教えてくれませんか?」

剣士は歩きながら後ろ向きで答える。

「俺の名前はシグマ。ナイトをしている」

それだけ言い残すとその剣士は歩みを続け、その場からいなくなった。

「ナイト……か」


この一件以来、ディオスはナイトを志すようになった。

立派なナイトになるために、剣の腕を磨き続けてきた。

そして遂に今日ディオスはナイトになったのである。

はやくシグマさんのようなナイトになるために頑張るぞ、と
ディオスの心はやる気に満ちていた。

そしてディオスはファイターギルドを出ようと出口に向かった。

その時、再びラモスが口を開いた。

「最近、人を襲い物品を強奪する輩がいるそうだ。お前も気をつけるのだぞ」

「はい。ご忠告ありがとうございます」

ディオスはラモスに一礼し、ファイターギルドを後にした。

ファイターギルドを出たディオスは思った。

そうだ、まずは多くの人が集まる街に行ってみよう。

そうすれば、もしかするとシグマさんにも会えるかもしれない。

早速ディオスはグルーディン村を後にして、グルーディオ城の村を目指した。

グルーディオ城の村には多くの旅人が集う。

この世界でも一番の賑やかさを誇っているのではないだろうか。

そこに行けばシグマさんに会えるかもしれない。

ディオスはそう思った。

そして、その考えは的中とは言えないが当たることになる。

もっともディオスが予想していた再会とは似ても似つかぬものになるのだが……。


グルーディオの村を出て半刻ほど歩いた頃であろうか。

時間が夜中ということもあり、周りから聞こえてくる音はほとんどなかった。

そんな静まり返った周りから一つの音が聞こえてきた。

ディオスは耳を澄ました。

どうやらそれは後ろから聞こえてくる誰かの足音のようだ。

そして、その足音はだんだんと近づいてきていた。

かなり早く歩いてると思うんだけどなぁ、きっと急いでるんだな。

ディオスがそんなことを思っている時に足音の主がディオスに語りかけてきた。

「なぁ、あんた。命が惜しいなら有り金を全て渡しな」

この言葉を耳にした時にディオスは思った。

この声……どこかで聞いたことがある。

その声の主を思い出そうとしてディオスが考え込んでいる時に
次の言葉が聞こえてきた。

「……返答がないってことは、渡す気はないってことだな。仕方ない」

声の主は持っていた剣を抜き、ディオスへと斬りかかってきた。

「え?」

突然のことに驚いたが、とっさに自分の持っていた剣を抜き
斬りかかってきた剣を防いだ。

まさに間一髪だった。

剣を抜くのがもう少し遅ければ、重症をおっていたであろう。

二人の剣がぶつかりあい、つばぜり合いを開始した。

周りが暗かったために今まで見ることのなかった声の主の顔を
初めてディオスは目にした。

「あ、あなたは……」

ディオスがこの顔を忘れるはずがない。忘れることなどできないのだ。

その声の主は……。

「シグマさん!」

突然の事に今度は声の主が驚いたのであろう。
とっさにディオスから身体を離した。

「俺の事を知っている……のか」

小さな声でシグマがディオスへと質問を投げかけた。

「小さい時に貴方に助けてもらったんです。
そして貴方のような立派なナイトになりたいと思って
今まで頑張ってきたんですよ」

ディオスの声にシグマが答える。

「俺のようなナイトに、だと?
……俺のような奴を目標にするのはやめたほうがいい。
それに俺はもうナイトじゃない」

「ど、どうしてですか?」

ディオスにはその理由がさっぱり分からなかった。

自分を助けてくれたシグマさんがナイトをやめている?

あんなに立派な志を持っていたシグマさんが?

そんな考えが頭を巡っていた。

そしてその考えがまとまらないうちにシグマが言葉を発した。

「俺がナイトになったのは大切な人を守りたかったからだ。
しかし、数年前に自分の大切な人を守ることができなかった。
その時思ったのさ。守れないものだってあるってこと。
いや、守れないものの方が多いってことをな」

少し間をおいてシグマはさらに言葉を続けた。

「この世界には大きく分けて二種類の人間がいるのさ。
奪う側と奪われる側、だ。ナイトは奪われる側の人間さ。
弱きものを守ることを誇りにしている、だと?笑わせるな。
自分より強いものに出会ったら大切なものを守ることなどできないんだ!」

静かな声で語りかけていたシグマが突然声を荒げた。

その声には怒りと哀しみが交じっているように感じられた。

「大切な人を守れなかったからナイトをやめたんですか?」

「……奪われる側の人間よりも奪う側になった方が楽しめる。
そう思ったからだ」

ディオスの質問にシグマは答えようとはしなかった。

しかし、シグマの表情は言葉以上にディオスの考えが正しかったことを物語っていた。

「僕は……僕はそうは思いません!
僕はどんな相手からも自分の守りたいものを守ってみせます。
きっと立派なナイトになってみせます」

「ほう。じゃあ、守ってみせてくれよ……お前の命をな」

そう言うと再びシグマはディオスへと斬りかかった。

そしてその剣を間一髪で避けたディオスは剣を構え、声を大にして叫んだ。

「あなたの考えは間違っている。僕が証明してみせる。
ナイトは大切なものを守ることができることを」

その声は静かな夜の闇に響き渡った。

ディオスの声が消え、再び静寂が訪れた。

「いつかお前にも分かる時がくるさ。
自分ではどうすることもできない壁にぶつかった時にな。
そうなった時にでもまだそんな言葉が言えるのなら
その時はお前の言うことを信じるかもな……」

シグマは剣を鞘に収めると後ろを向き、歩き出した。

そして歩きながらディオスには聞こえないような小さな声でシグマは呟いた。

「俺はずっと待っていたのかもしれないな、俺の過ちを正してくれる者を。
その人物がお前であることを願っているぜ……」

やがてシグマの姿は闇に消えた。

シグマの後姿を見ながらディオスは思っていた。

僕がシグマさんをあの頃のシグマさんに戻してみせる。

きっと立派なナイトになってシグマさんにもう一度会うんだ、と。


この一件以来ディオスは更に剣の道を磨き、世界に名を轟かせるナイトになる。


ある日、ディオスは人から尋ねられた。

「どうしてディオスさんはナイトになろうと思ったのですか?」

ディオスは答える。

「大切なものを守りたいと思ったから。そう思わせてくれた人がいたんだ。
その人との出会いがなければ僕はナイトを続けていなかったかもしれない」

「大切な人を守りたいから、かぁ。かっこいいいなぁ。
僕も立派なナイトになれるかな?」

そう言われたディオスは笑顔で答える。

「もちろんさ」

ディオスの横には剣士が立っていた。

その男に同意を求めるようにディオスは言葉を発した。

「ねぇ、シグマさん?」

と。

―― Fin ――



【出会い(追加編)】

「ああ、そうだな。俺もそう思うぜ」

大きな剣を自らの横に置き、シグマと呼ばれた男は答えた。

そして少しうつむき、言葉を続ける。

「俺はナイトの力に限界を感じていた。そして道に迷っていたんだ。
出口の見えない道にな」

シグマは昔を思い出すように言葉を紡いだ。

「俺は自分が努力をしていないことを自分以外のせいにしていた。
守りたいものを守れなかったのは俺のせいじゃない。
ナイトが悪いんだってな。
あの頃の俺からはナイトに戻るなんて全く考えられなかったな」

ディオスに話かけてきた人が不思議そうにシグマに尋ねる。

「どうしてまたナイトに戻ろうと思ったんですか?」

その質問に語調を強めてシグマが答える。

「証明してくれた奴がいたんだ。
ナイトは力の無いもの、守るべきものを守ることができるんだってことを。
そいつはな。どんな逆境になろうとも諦めないんだ。
どんなに苦しくても絶対諦めないんだ。
そして最後には自分の守りたいものを守り通してしまう奴なのさ」

シグマから出てきた言葉は力強いものであった。

迷いを振り切ったものにしか出せない、そのような言葉に聞こえた。

「シグマさんもすごく素敵な出会いがあったんですね。
その人はお元気にされてるのですか?」

質問にシグマは笑いながら答える。

「元気にしてるか、だと?ハハハ」

そしてシグマは自分の剣先をディオスの方へと向けて言葉を続ける。

「こいつさ。ディオスが俺に間違いを気付かせてくれたのさ」

その言葉に驚いた質問の主はディオスへと質問の標的を変えた。

「そ、そうだったんですか?ディオスさん」

ディオスもシグマと同じようにシグマの方に剣先をゆっくりと上げながら答える。

「うん。そして僕の人生を決めた人ってのはこのシグマさんなんだけどね」

言葉が終わると同時にディオスの上げてきた剣先がシグマの剣先と触れた。

――キーン

二人の剣先があたり、一つの金属音となって周りに響いた。

その透き通った音は永遠に鳴り止むことがないように思えた。

まるで二人の友情が壊れることなくいつまでも続くかのように……。

―― Fin ――
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by kazuyuna | 2006-10-02 15:24 | 小説